繰り下げ受給は最大84%増!? “長生きリスク”を逆手に取る年金戦略 2025-09-11 10:23:09
繰り下げ受給は最大84%増!? “長生きリスク”を逆手に取る年金戦略
目次
はじめに
「どうせ年金はもらえない」「年金はあてにならない」という声をよく耳にします。確かに将来への不安は尽きませんが、年金制度には“意外と知られていない仕組み”があり、上手に使えば老後の安心度は格段に変わります。
その一つが 「繰り下げ受給」 です。年金を65歳からではなく、70歳や75歳から受け取ることで、受給額を大幅に増やせる制度です。長生きのリスクを逆手に取るこの戦略は、老後資金対策の重要なカギとなります。
繰り下げ受給とは?
通常、老齢基礎年金や老齢厚生年金は65歳から受け取れます。しかし希望すれば、 60〜75歳の間 に受給開始時期を自由に選べます。
●繰り上げ受給(60歳から):1カ月早めるごとに0.4%減額
●繰り下げ受給(66〜75歳から):1カ月遅らせるごとに0.7%増額
つまり、70歳から受給すれば65歳からより 42%増、75歳ならなんと 84%増 となります。
繰り下げのメリット
① 終身で増額された年金を受け取れる
一度繰り下げて増額された年金は、一生涯続きます。例えば基礎年金が月65,000円の人が75歳まで繰り下げると、約119,000円に。老後の生活費の柱を強固にできます。
② 長生きリスクのカバー
「老後資金が足りなくなる」最大の原因は寿命が想定より長いこと。繰り下げはそのリスクを軽減し、90歳・100歳まで生きた場合に強みを発揮します。
③ 夫婦で戦略を立てやすい
例えば夫は65歳から厚生年金を受け取り、妻は70歳まで繰り下げる、といった“夫婦リレー戦略”も可能です。家計全体の安定性が高まります。
デメリットと注意点
もちろん繰り下げにはリスクもあります。
●受給開始前に亡くなった場合は損
●70歳までの生活費を他の資産で補う必要がある
●健康状態や働き方によって最適解が変わる
「必ず繰り下げが得」というわけではなく、ライフプラン全体を踏まえた判断が欠かせません。
シミュレーションで比較してみる
例えば、基礎年金月65,000円の人が65歳から受給した場合と、75歳から受給した場合を比較します。
- 65歳から受給:65,000円 × 12カ月 × 20年間(85歳まで)= 1,560万円
- 75歳から受給:119,000円 × 12カ月 × 10年間(85歳まで)= 1,428万円
→ 85歳までの累計では繰り下げはやや損。
しかし90歳まで生きれば、繰り下げが 2,142万円 となり逆転。つまり「長生きすればするほど得」なのです。
賢い活用法
① 健康状態を考慮する
病歴や寿命リスクを見て判断。健康に自信がある人ほど有効。
② 働き方とのバランス
70歳まで働ける人なら繰り下げのハードルは低い。逆に無収入で貯金も少ない人は無理に繰り下げせず、65歳からの受給が安心。
③ 部分的に繰り下げる
厚生年金だけ65歳、基礎年金は70歳から、という選択も可能。柔軟な組み合わせで最適化できるのがポイント。
事例紹介
事例①:自営業の男性(68歳)
65歳から受給できたが、まだ働けていたので70歳まで繰り下げ。結果、年金が42%増えて将来の安心感が増した。
事例②:専業主婦の女性(65歳)
夫の年金で家計が回っていたため、自分の基礎年金は75歳まで繰り下げ。夫婦合算で老後後半の資金が厚くなった。
繰り下げ戦略のカギ
●「長生きリスク」=デメリットではなく、むしろ 資産を活かすチャンス
●重要なのは「いくら増えるか」より「その時期に生活費をどう賄うか」
●繰り下げの判断には、年金額シミュレーション+ライフプラン設計 が必須
年金戦略をどう立てる?具体的なシナリオ
年金は「繰り下げ受給」だけでなく、ライフスタイルや他の制度を組み合わせることで戦略的に活用できます。ここでは、代表的な3つのパターンを紹介します。
戦略①:夫婦で“ずらし受給”をする
夫婦ともに年金を65歳から同時に受け取ると、収入は一気に増えますが、税金や社会保険料の負担も増える可能性があります。
そこで一方は65歳から受給を開始し、もう一方は70歳まで繰り下げる「ずらし受給」を行う方法があります。
こうすることで、夫婦の生活費は確保しつつ、片方の年金を将来のインフレや長寿に備えて増額することができます。
戦略②:働きながら「在職老齢年金」を活用
65歳以降も働き続ける人が増えていますが、収入によっては年金が一部カットされる「在職老齢年金」の制度があります。
ただし、2022年の改正で基準額が緩和され、65歳以降は収入が月47万円を超えなければカットされない仕組みに改善されました。
つまり、一定の収入を得ながら年金を受け取れる可能性が高まっているのです。働く期間を延ばしつつ、年金も受け取り、さらに繰り下げで増額する選択肢を組み合わせれば「収入の二重取り」が可能になります。
戦略③:iDeCo・NISAと組み合わせる
公的年金だけでは生活費が足りない人が多いのは事実です。そこで頼れるのが 自助努力の制度。
●iDeCoは掛金が全額所得控除となり、節税しながら老後資金を積み立てられる
●NISAは運用益が非課税になり、資産形成に適している
これらを公的年金の「補完」として位置付けることで、繰り下げ受給と同時に柔軟なキャッシュフローを設計できます。
ケーススタディで見る年金戦略
ケース1:自営業のAさん(60歳男性)
●国民年金のみで将来は月6.5万円見込み
●生活費は月20万円必要
→ 65歳から受け取ると不足が大きいため、70歳まで繰り下げて年金を約11万円に増額。
さらにiDeCoで積み立てた600万円を65〜69歳のつなぎ資金に充てることで、赤字を出さずに老後生活をスタートできた。
ケース2:会社員夫婦のBさん(夫62歳・妻60歳)
●夫婦で厚生年金と国民年金を受給予定
●夫は65歳から受給、妻は70歳まで繰り下げ戦略を選択
→ 夫の年金で当面の生活費をまかないつつ、妻の年金を将来の医療費や介護費用に備えて増額。長寿リスクに対応できる体制を整えた。
年金は“受け取り方”次第で人生が変わる
「年金は少ない」「不安だ」と漠然と思っている人も多いですが、実際には制度をどう使うかで大きな差が出ます。
●繰り下げで最大84%増
●夫婦でずらし受給
●働きながら年金を受け取る
●iDeCoやNISAで補完する
これらを組み合わせることで、“年金不足のリスク”を“老後の安心”に変えることが可能です。
年金は「加入して終わり」ではなく、「どう受け取るか」で未来が変わります。
あなたのライフスタイルに合った年金戦略を一緒に考えてみませんか?
(年金試算・老後資金シミュレーションも可能です)
まとめ
繰り下げ受給は「年金は減るばかり」と不安に思っている人にこそ知ってほしい戦略です。最大84%も増やせる仕組みを理解し、活用できるかどうかで老後の安心度は大きく変わります。
ただし万能ではなく、寿命・働き方・家族状況などを加味した“オーダーメイドの判断”が欠かせません。
「自分が繰り下げした方がいいのか分からない」
「何歳まで生きたら得になるのか知りたい」
そんな疑問は、専門家と一緒にシミュレーションしてみるのが一番です。
👉 やさしい保険では、年金額の試算から老後資金の設計まで無料相談を承っています。
ぜひお気軽にご相談ください。
あなたに最適な年金戦略を一緒に考えましょう。
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