「終身保険で資産形成」は幻想?プロが語るホントの話 2025-09-30 17:06:58

「終身保険で資産形成」は幻想?プロが語るホントの話
目次
はじめに
近年、「終身保険で資産を増やす」という宣伝文句を目にすることが増えました。保険に入ることで万一の保障を得ながら、将来は解約返戻金を受け取って資産形成につなげられる――一見すると魅力的な選択肢に思えます。しかし、本当に終身保険は資産形成に向いているのでしょうか?
実際には、「保険は保障を得る商品」であり、「資産形成」は投資や運用の領域です。両者を混同すると、大切なお金を非効率に眠らせてしまうリスクがあります。本稿では、終身保険を資産形成として活用することの幻想と、プロが考える本当に賢いお金の使い方について、わかりやすく解説していきます。
終身保険で資産形成できると言われる理由
保険会社や一部の営業担当者は、終身保険を「貯蓄型」として提案することがあります。その根拠は、主に以下の2点です。
①解約返戻金の存在
一定期間支払えば、解約時にまとまった金額が戻ってくるため、貯金感覚で積み立てられると説明されます。
②予定利率による運用
長期にわたって保険会社が運用するため、元本保証に近い安心感があるとアピールされます。
確かに、掛け捨て保険と違って「将来返ってくるお金がある」のは魅力に映ります。しかし、その仕組みをよく理解すると「資産形成に有利」とは必ずしも言えない現実が見えてきます。
終身保険で資産形成が難しい理由
①利回りが低い
終身保険の返戻率は、長期で支払ってもせいぜい1~2%程度にとどまります。インフレが進めば、実質的な価値は目減りします。たとえば、30年間で積み立てた結果、返ってきた金額がわずか数十万円のプラスに過ぎないケースもあります。
②中途解約リスク
10年以内に解約すると、支払った保険料よりも大幅に少ない金額しか戻らない「元本割れ」状態になります。転職、結婚、住宅購入、教育費など、ライフイベントで資金が必要になるときに解約すれば、大きな損失を被る可能性があります。
③保険料が高い
同じ死亡保障を確保するなら、掛け捨ての定期保険の方が圧倒的に安いです。終身保険は「保障」と「貯蓄」を一体化しているため、月々の支出が家計に負担となるケースが多いのです。
実際のシミュレーション
30歳男性が、月2万円の終身保険に加入したとします。60歳まで30年間払い続けると、支払総額は720万円。返戻金が65歳時に800万円だったとすると、差額は80万円のプラスです。
一方で、その2万円を投資信託で年3%の利回りで積み立てれば、30年間で約1,160万円になります。差は360万円以上。数字を比べると、資産形成の観点では投資信託やiDeCo・NISAの方が圧倒的に効率的です。
終身保険が役立つ場面
もちろん、終身保険がまったく不要というわけではありません。むしろ、特定の目的においては有効に機能します。
●相続対策:死亡保険金は「非課税枠」があるため、相続税対策に利用できます。
●葬儀費用の準備:万一のときに、遺族にまとまった資金を残せます。
●貯金が苦手な人:強制的に積み立てる仕組みとして活用できることもあります。
しかし、これらは「保障」を目的に加入する場合の話であり、「資産を増やす」手段として使うのは誤解だといえるでしょう。
よくある誤解とその落とし穴
①「解約返戻金がある=お得」ではない
元本が返ってくるのはあくまで長期間継続した場合であり、短期解約では損失が大きい。
②「保険会社が運用してくれるから安心」
運用益は大部分が保険会社の利益や手数料に回り、契約者に還元される部分はわずか。
③「老後資金として使える」
老後資金は流動性(いつでも引き出せること)が重要。終身保険は流動性が低いため、老後の生活費確保には不向き。
プロが推奨する本当の資産形成術
では、資産形成を目的とするなら、どんな方法が有効なのでしょうか?代表的な手段を整理します。
●iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除、運用益も非課税。老後資金に特化した制度。
●NISA(少額投資非課税制度):運用益が非課税。積立NISAなら長期投資で資産形成に向く。
●投資信託やETF:分散投資でリスクを抑えつつ、中長期で資産を増やす王道。
●現金貯蓄:緊急時の生活防衛資金として必要最低限を確保。
保障が必要なら保険で備え、資産形成は投資で行う――役割を明確に分けることが、結果的に効率の良いマネープランにつながります。
さらに深掘り:なぜ「保険=資産形成」と誤解されるのか?
ここで少し視点を変えましょう。なぜ多くの人が「保険で資産形成ができる」と思い込んでしまうのでしょうか?
理由のひとつは、「元本割れしにくい安全性」に惹かれる心理です。投資はリスクがあると聞けば、「損をしたくないから保険で堅実に貯めよう」と考えてしまうのです。しかし、実際はインフレリスクや機会損失によって「見えない損」を抱えてしまうことになります。
もう一つは、営業トークの影響です。「この保険なら老後も安心」「積立てるだけで教育資金ができる」といったセールストークは、特に金融リテラシーの低い層に響きやすいのです。結果として、「保険が投資の代わりになる」という誤解が広まってしまいます。
保険と投資を“混ぜない”ことが鉄則
金融の世界では「保険は保険」「投資は投資」と切り分けるのが鉄則です。
保険を資産形成と混同してしまうと、次のようなデメリットを背負う可能性があります。
●保障額が足りず、家族を守れない
●資産形成効率が悪く、老後資金が不足する
●途中解約で大きな損失を出す
シンプルに考えれば、必要な保障は掛け捨てで最低限確保し、余った資金を投資で増やす。これが最も合理的で、多くのFPが推奨する戦略です。
まとめ
終身保険を「資産形成」として利用するのは、幻想に近い考え方です。確かに返戻金はありますが、利回りは低く、流動性も悪い。資産を効率的に増やすには、iDeCoやNISA、投資信託などを活用した方がはるかに有利です。
ただし、相続対策や葬儀費用準備など「保障」に関わるニーズがある場合には、終身保険は役立ちます。つまり、「資産形成」ではなく「保障目的」に徹して利用するのが正しい姿です。
もし「保険で資産形成って本当に正しいの?」と疑問を持たれた方は、ぜひ一度プロにご相談ください。当社では、保障と資産形成を切り分けたうえで、お客様一人ひとりのライフプランに合わせた最適なプランニングを行っています。
「保険で損しない選び方を知りたい」「老後資金と保障をバランスよく準備したい」そんな方は、お気軽にご連絡ください。あなたの未来に安心を届けるためのサポートをいたします。
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